本屋さんでも図書館でも、たくさんの絵本が並んでいて、どう選んでいいかわからない…。
そんなママやパパの「絵本をどんな風に選べばいいの?」というさまざまな疑問について、「えほんがかり」のまこさんに答えていただきました。
《お話を聞いたひと》
えほんがかり まこ さん
「絵本 つながる ことば いのち」をテーマに、絵本の楽しさや奥深さを発信。“えほんがすきなおとな”、「えほんがかり」として活動する。読み聞かせ教室や講座(現在はお休み中)のほか、絵本と触れ合うきっかけづくりのために、さまざまなスポットに絵本を届ける「えほんがかり文庫」を自主企画し、全国47都道府県制覇を目指し活動中。NPO法人「絵本で子育て」センターで絵本講師過程を修了、現在は絵本講師の域にとどまらない自由な発想とフットワークで、絵本コミュニケーションを発信している。一児の母。
迷ったときは「ロングセラー絵本」
ー今日は、絵本の選びかたの疑問・質問について、いろいろお聞きしたいと思います。
私がふだん、絵本を選ぶときに感じていることや、いろいろな親子さんを見ている中で感じたことからお答えさせてもらいますね。
この答えがすべて!というわけではないですが、少しでも参考になれば嬉しいです。
【質問】絵本を買うときの基準は?迷ったときはどんな絵本を選んだらいい?
まず最初にお迎えする絵本を選ぶのに迷ったときは、私は「ロングセラーの絵本を」とお伝えしています。
本屋さんでどーんとディスプレイされている“話題の絵本”、いわゆるベストセラーの絵本が悪いわけではないのですが、たくさんの絵本の中から、「この先何年も子どもに読み聞かせ続けたい」と思うような、本当に良い絵本を見分けるのはとても難しいです。
でも、何十年も残っている絵本って、それだけ残っている理由があるんですよね。
毎月、毎年、数え切れないほどの絵本が出版されていくなかで、ずっと変わらず並び続けているロングセラー絵本は、どれも普遍的なテーマが表現されていて、どんな時代にも合うと私は思っています。
最近の話題の絵本に比べると、一見地味だったり、盛り上がりに欠けると思われることもあるかもしれませんが、まず子どもに絵本を買ってみよう!と選ぶ一冊目は、ママやパパも見覚えがあるようなロングセラーの絵本がおすすめです。
また、購入前に一度図書館で借りてみるのもおすすめです。
「今の年齢にはどんな絵本が良いのか?」など、司書さんに相談しながら選ぶのも楽しいです。
図書館で借りるときは、購入するときと違ってお金がかからないので、子どもの興味のおもむくまま、好きな本をどんどん選ばせてあげて欲しいです。
子どもの「おんなじが好き!」を受け入れて
【質問】いつも同じ「のりもの」の絵本ばかり持ってきます。この前は家にある本を、保育園で借りてきてびっくり…! 大人の方が飽きてしまいがちです(笑)。
「好きなものがある」って、素敵なこと!
小さな頃から「自分のお気に入りがある」こと、そしてそれに親子で出会えたというのは、とてもうれしいことです。どんな「好き」も、ママやパパが受け入れてあげることが一番大事だと私は思います。
質問にもあるように、子どもは、同じもの・同じようなものをよく持ってきますよね。
子どもは「おんなじ!」が大好きです。
いざ新しい絵本を買おうとしたときに、「同じような本、持ってるでしょ」とか「もっと違うのにしたら?」なんてつい言いたくなりますが、そこをグッとこらえて「好きなんだね」と共感したあとに、お互いに納得のいく話し合いを。
持っている本を学校や園で借りてきたら「わあ、同じ本だね!」と言って、私なら「…でも、ほんとに同じかな?」って、二冊並べて間違い探しをします。
絵本はコミュニケーションのツール。子どもは「楽しい!」「うれしい!」と思ったことを、大好きなママやパパと共有できるとさらに嬉しいと思います。
対象年齢にしばられず、自由に楽しんで
【質問】月齢や年齢に合った絵本選びができているか、不安です。
裏表紙に「対象年齢」が印刷されているものが増えてきました。でも、これは購入者が迷わないように添えてある「目安」だと思ってください。絵本に書いてある「対象年齢」に縛られなくても大丈夫です。
子どもそれぞれに個性があるように、絵本と出会うタイミングも、人それぞれ。
たとえば、1歳の誕生日にある絵本を買ったとします。その時点では興味がわかなくても、数年後に大好きになることもあります。
「赤ちゃん絵本」と呼ばれる乳児向けの絵本を、4・5歳や小学生になって読んでもらっても何の問題もありませんし、逆に新鮮で新しい楽しみ方ができることもあります。
絵本との出会いは、「早すぎる」ことはあっても、「遅すぎる」ことはありませんし、卒業しなければいけない絵本もありません。「うちの子、絵本に興味ないみたい」というのも、実は今そのタイミングじゃなかっただけ、ということも多いです。
いろんな本に触れることで、どこかでお気に入りの一冊に出会えるかもしれません。
その子それぞれタイミングで、大好きな絵本と出会えることを祈っています。
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ライター 後藤麻衣子