#たべる

噛む力をつけるために、食べさせたい食材

2022.06.15

yamatoyaでは、中原歯科医院の小児歯科医、中原弘美先生と一緒に正しい食事姿勢を研究しながら、健やかな成長を見守るベビーチェアの共同開発を行ってきました。

子どものお口の健康を通して、育児全般のアドバイスをしながら診療をしている中原先生に、食事中の姿勢や歯並び、体づくりについてインタビュー。これまで、食事の際の正しい姿勢や、からだづくりについてご紹介しました。

今回は、噛む力や食べる力をつけるために、子どもに食べさせたい食材とその理由についてお聞きしました。

《お話を聞いたひと》
中原歯科 副院長
小児歯科専門医 中原弘美先生

1982年、岐阜歯科大学(現朝日大学歯学部)卒業。大阪府東大阪市で1983年に開院した「中原歯科」で、副院長をつとめる。小児歯科が専門。口腔内はもちろん、それだけでなく患者の身体の健康まで視野に入れた歯科診療を行っている。幼稚園や学校等での保健指導といった、地域への貢献も多い。歯学博士、一般社団法人日本小児歯科学会専門医指導医、ケアマネージャー、臨床研修指導歯科医、米国NLP TMプラクティショナー。

 

「よく噛んで食べる習慣」をつけよう

ー正しく「噛む」コツなどはありますか。

「よく噛んで食べましょう」とは昔から言っていますが、近年、食生活の変化により、あまりしっかり噛まなくても飲み込めてしまう食事が多くなってきました。
パン食の普及や、ハンバーグやオムライスやサラダといった洋食の増加もそのひとつ。和食が中心だった頃と比べると、噛む回数は減って、噛みながら少しづつ飲み込む噛み方が増えました。

ただ、小さな子どもに「たくさん噛みなさい」と言っても、その日から倍噛んでくれる、ということはないので、調理方法などを工夫して噛む習慣をつけてあげることが大切です。

 

ー日々の食事で工夫できることはありますか。

奥歯で食べ物を食べるとき、本来人は、あごを上下に動かすだけでなく、左右にも動かして、すり潰すような噛み方をするように作られています。
でも、前述のように柔らかいものばかりを食べていると、子どもは上下の動きしかできなくなってしまったり、前歯だけで軽く噛んでそのまま飲み込んでしまったりします。

あごの発達には、上下だけではなく「左右の動き」が重要です。

そのため、繊維が多いもの、簡単に飲み込めないものを、メニューの中に入れてあげると良いでしょう。根菜類は皮をむかずに、繊維を生かして大き目の乱切りに。

また、おすすめは「切り干し大根」です。
あまり水で戻しすぎない様にしてサラダ感覚でドレッシングで他の野菜と和えるのはどうでしょうか?
薄揚げや長ネギ、白菜の白いところなども良いと思います。シメジなどのキノコ類もおすすめです。

正しく咀嚼するのには、食材だけ気をつければいいわけではありません。
やはり正しい姿勢で噛むことが最も大切。
姿勢が正しくないと、せっかく用意した食材を奥歯の辺りまで持っていくことができません。上下・左右にすり潰すような噛み方にならないのです。

第一回目の記事でご紹介したように、まず、背筋をピンと伸ばした状態で座り、足の裏がぴったりとつく姿勢で食事をとりましょう。


ー離乳食を始めたばかりで、まだおすわりも不安定な時期はどうすればいいですか?

最近は離乳食を始める時期が少し早いように感じています。

そもそも、支えてもおすわりがままならない頃から離乳食をはじめても、なかなか「食べる練習」はできません。
離乳食は、腰がしっかりすわって、おすわりが安定してきてから始めても良いと私は思います。
けれども、お子様を保育園に預ける関係で、どうしても早く始める必要のあるお母さまもいらっしゃるはず。写真のように、お母さまが体を支えてあげたり、体を起こせるようにクッションなどを入れてあげましょう。

今までおっぱいやミルクを飲むことしかしなかった赤ちゃんは、この離乳食期に少しずつ口の中で噛んだり、上顎や舌を使ってすり潰すような練習をします。
口の中に入ってきた食べ物の大きさや形状を把握し、学習しながら、「食べる」ということを覚えていくのです。
まずは、何でもお口に入れるこの時期に、唇でくわえること、上下の歯茎を合わせること、おっぱい以外の味を覚えさせることが大切です。
しゃぶったり、噛んだりすることが離乳食の始まりです。

ブロッコリーの芯を固ゆでにしたものや、だし昆布を戻したものを、お子様が握ったときに、手からはみ出るくらいの大きさにして持たせてあげましょう。

また、離乳食はドロドロからという固定概念は捨て去りましょう。
食べることに興味を示したら、歯茎でつぶせる硬さに煮た根菜類を大き目のスティック状に。手づかみ食べは、手先の器用さはもちろん、脳も育ててくれます。

お子様から目を離さないようにして、お口に入れたり出したりしながら食べる様子を助けながら、一緒に食事を楽しみましょう。

ただ、背もたれが倒れたような状態で離乳食を食べたり、お尻が足より下がった状態で食べるのはおすすめできません。
体を後ろにあずけたような角度だと、舌の後ろだけを下げる(おっぱいやミルクを飲むときと同じ)動きのまま、するんと喉へ入ってしまいます。
誤嚥の危険性もありますし、固形の食べ物を食べる練習にはなりません。
できれば離乳食開始から、正しい姿勢を意識することで、「噛む」ということをしやすくしてあげてください。

 

体を動かすこと、正しく座る習慣をつけることが、健康な体づくりにつながります。
ぜひ、食卓の環境から整えてみてくださいね。

 

 

ライター 後藤麻衣子

 

 

中原弘美先生 他の記事はこちら。

食べる姿勢を少し変えるだけで、我が子の歯並びが変わる

小児歯科専門医が教える、食事のときの「正しい姿勢」

正しい姿勢から考える、健やかな体づくり

 

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中原歯科副院長 小児歯科専門医

中原 弘美

1982年、岐阜歯科大学(現朝日大学歯学部)卒業。大阪府東大阪市で1983年に開院した「中原歯科」で、副院長をつとめる。小児歯科が専門。口腔内はもちろん、それだけでなく患者の身体の健康まで視野に入れた歯科診療を行っている。幼稚園や学校等での保健指導といった、地域への貢献も多い。歯学博士、一般社団法人日本小児歯科学会専門医指導医、ケアマネージャー、臨床研修指導歯科医、米国NLP TMプラクティショナー。

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