#絵本

絵本作家 あいはら先生 & ちゅうがんじ先生 スペシャルインタビュー

2022.07.06

2022年6月4日、絵本『ふしぎな森のものがたり』の絵本作家、あいはらひろゆき先生とちゅうがんじたかむ先生をお招きして、親子向けイベントを開催しました。

ちゅうがんじ先生による絵本の読み聞かせのあと、絵本の中で登場する「ふしぎな実」をみんなで考え、最後に家族で​​木の植え替え体験をするという、盛りだくさんの内容でした。
午後の回には、お二人の先生のご提案で、その場限りのスペシャルサプライズも!

今はまだ構想段階という新しい絵本のスケッチを当日現場で描いてくださった先生たち。午後の回の読み聞かせのあと、その秘密の“新絵本”も、先生自ら読み聞かせてくださいました。


ー今日のイベントを振り返って、いかがでしたか?

あいはら先生
みんな、熱心に読み聞かせを聞いてくれたり、お絵描きも一生懸命描いてくれて、とても楽しいイベントでした。

ちゅうがんじ先生
子どもたちが、みんな楽しそうだったのが印象的でしたね。
実はこの絵本を大勢の前で読み聞かせするのは今回初めてだったんですが、みんな真剣に聞いてくれたり、こちらからの問いかけに反応してくれたりして、嬉しかったです。

あいはら先生
絵本の中の世界だけで終わらず、実際に木に触れて、一緒に植林体験ができたことは、僕らにとっても大変良い機会になりました。
子どもたちは今日自分で植えた木をそれぞれ持ち帰るわけですから、家で絵本を読んで、木に水をあげて…という親子の姿を想像すると、とても微笑ましいですし、嬉しいです。
コップのうつわにしたのも、小さな子どもも持ちやすくて、愛着がわきやすそうでいいですよね。さすがyamatoyaさん、子どものことよく分かってます。

ちゅうがんじ先生
コップなの、いいですよね。
午前の回の子が「かんぱ〜い!」ってコップを持って周りの人と乾杯していて、「あ、それいい!」と思って午後の回で使わせてもらいました(笑)。僕が「かんぱ〜い!」って言ってみたら、たくさんの子が乾杯してくれて。
いい交流になりました。

ー特に印象に残っていることはありましたか?

あいはら先生
やっぱり、あの木だよね。

ちゅうがんじ先生
あの木ですね。まだ公開はできないんですが、今、僕らで構想中の新しい絵本のほんの一部分をお昼休みに描いてみて、初めて読み聞かせをしてみたんです。午後の回に来てくれた人だけのサプライズになっちゃったんですが…。
そしたら、その絵本に繰り返し出てくるフレーズを気に入ってくれた子がいて。その後の「ふしぎな実を考えて描いてみよう」のワークのときに、そのフレーズの木を描いてくれたんです!

あいはら先生
あれは、嬉しかった。その子の心に響いたことが、絵からも言葉からも伝わってきました。

ちゅうがんじ先生
まだアイデアレベルなので、本当に短いお話だったんですけど、すぐにフレーズを覚えてくれて。楽しそうに口ずさみながら、必死に絵にしようとしてくれて、感動しました。

あいはら先生
自分でつくったものを口ずさんでもらうって、本当に嬉しい。描いてすぐに子どもたちの前で読んで、その嬉しい反応をこの目で見ることができたのは、とても幸せでしたね。

ちゅうがんじ先生
『はっはっはくしょーん』のときも思ったんですが、絵本って、僕らがいいと思って描いていても、子どもたちには今ひとつ伝わらなかったり、逆に思いもしないところで良い反応が返ってきたりするんですよね。
子どもたちの前で読んでみないと、わからないことはたくさんあります。今回のワークショップを通して、新作のアイデアもたくさんもらえました。

ー読み聞かせやお絵描きのあとに、植林体験がありました。子どもたちの楽しそうな表情が印象的でしたね。

あいはら先生
子どもたちは公園で木に触れる機会はあっても、木を植える経験って、あまりないと思います。
自分が経験したことがないのに「自然を大切にしましょう」なんて言われても、なかなか実感が湧かないと思うんです。
こういった簡単なものでも、自分で木を植えて、自分で水をあげてみるという経験があるだけで、その子にとって自然というのはぐんと身近なものになります。「木を植えた」という実体験が、自然を守っていきたいと感じる意識になり、やがては自然保護や自然保全という大きな力につながっていく、そのきっかけになる経験だったと思います。

ちゅうがんじ先生
木を植えるという体験をするだけでなく、それを持ち帰ってこれから「自分で育てる」ということも、良い経験になりますよね。もしかしたら、水をあげるのを忘れて枯らしちゃうかもしれないけど…。

あいはら先生
枯れたら枯れたで、それも立派な経験。自然のものは、面倒を見なければ枯れることを知れるのも大きいと思う。

ちゅうがんじ先生
確かに、そうですね。

あいはら先生
今日のイベントをきっかけに実際に木を植えて自分で育てていく中で、「小さな葉っぱが一枚出てきた」とか、その子なりに発見をするわけですよね。
それは小さな子どもなりにも「自分が自然を育てている、守っている」という意識になっていくと思うんです。
この『ふしぎな森のものがたり』は、売上が森林保全活動のための寄付につながる絵本です。でも「植林の寄附」と言っても、小さな子どもにはわからない。でも、それでいいんです。
木や植物に毎日水をあげて育てることだって、立派な自然保全活動のひとつです。
今回のイベントで、絵本を読んで、子どもたちと一緒に木を植える体験ができたのは、この絵本をつくった趣旨にもかなり近い内容だったと思います。

ーあいはら先生、ちゅうがんじ先生、今日は本当にありがとうございました。

 

【2022/7/15追記】
絵本作家のあいはらひろゆき先生が、2022年6月27日にご逝去されました。
ご生前、6月4日に開催した本イベントで、弊社にお越しいただいた際、子どもたちと楽しそうに交流されていた様子が鮮明に目に浮かびます。
先生と過ごしたあの時間は、私たちにとっても宝物のような時間となりました。本当にありがとうございました。
あいはらひろゆき先生のご生前のご厚情に深く感謝するとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
https://www.sunny0412.com/

 

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ライター 後藤麻衣子

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