yamatoyaのアイテムの開発秘話について深掘りしていく「家族の家具のこと、もっと話そう」シリーズ。第一弾の「すくすくローチェア」編、第二弾の「そいねーる」編に続き、第三弾は9月にリニューアルを発表し、10月上旬発売開始予定となる「ブォーノ3」シリーズのお話です。
yamatoyaの製品開発チームのみなさんに、お話をお聞きしました。
《お話を聞いたひと》
yamatoya 企画開発部のみなさん
ベビーベッドやベビーチェアをはじめ、yamatoyaの製品の企画・デザインはもちろん、製品開発や量産管理など、製造にかかわるさまざまなセクターを担当する、企画開発部のメンバー。左から、根兵さん、伊吹さん、奥村さん、松脇さん。
コンセプトは「遊びながら学ぶ」家具
ー2022年9月にリニューアルを発表し、10月上旬発売開始予定となる「ブォーノ3」。これまでの「ブォーノ」シリーズを踏まえ、どのように製品開発が進んでいったのでしょうか。
yamatoyaには、「あそぶ」カテゴリとしての子ども用家具のブランドが2つあります。
ひとつは「ノスタ」、もうひとつが、この「ブォーノ」です。
こういった子ども用デスクやチェアを使う年齢は、1才半から就学前くらいまでと幅広く、それぞれの年齢でどんなことができて、どんな行動を取るようになり、家具をどう使うことができるのかを把握するために、改めて子どもの行動の傾向を洗い出してみました。
子どもの行動を家具に紐づけて付箋に書き出し、壁にずらりと並べて、年齢ごとに分けていくことで、「ノスタ」と「ブォーノ」、それぞれのブランドの立ち位置やコンセプトを固めていきました。
ー今回の「ブォーノ3」は、どんなコンセプトでデビューしたのでしょうか?
新しい「ブォーノ3」のコンセプトは、「遊びながら学ぶ」です。
小さい子どもにとって、デスクに向かうことは遊びの延長ではあるのですが、ここがひとつの自分の居場所となることや、「デスクに向かう」という習慣づけ、集中してものごとに没頭できる場所づくりということを意識しました。
楽しく遊びながら学べる、そんな環境を整え育てていくようなシリーズ、子どもの自立を助けるような家具といった位置付けです。
正しい姿勢で座れる、細かく調整可能なチェア&デスク
ー「ブォーノ3 キッズデスク&チェア」は、前のモデルと比べると、どんなところが変わったのでしょう。
カラーや細かいデザインのディティールなど、いろいろアップデートしていますが、機能的なところだと、高さの調整がより細かくできるようになりました。
「チェアに座ったときに正しい姿勢を保つ」という、yamatoyaのベビーチェアの考え方を今回の「ブォーノ3」にも反映し、これまでのモデルよりさらに、子どもの体の大きさによって細かく調整ができるようになりました。
デスク・チェアともに、高さを3段階で調整できる機能はこれまで同様ですが、座板が少し大きくなり、前後に調整できるようになりました。座板は前後3段階調整、背板の大きさを見直し、上下2段階で調整ができます。
ここが細かく調整できることで、深く座ったときに、座面にしっかり膝裏が触れて、 足裏をぺたっと床につけて正しい姿勢で座ることができます。
ー1才半から正しい姿勢で座って遊べて、就学前まで調整しながら長く使えるのはとても嬉しいですね。
子どもが椅子に座るときの姿勢は、とても大切です。成長に合わせて調整しながら、長く使っていただきたいですね。
やわらかな丸みを帯びたデザインへのこだわり
ー「ブォーノ3」のキッズデスクには引き出しがついていたり、ペン立てがあったりと、「学び」を感じさせるデザインですね。
デスクには、A3サイズが入る大きな引き出しが付いています。中にはスケッチブックやクレヨンなどをたっぷり収納できます。机の幅も大きめなので、広々とお絵かきやお勉強ができます。集中して活動ができるように、文具などの落下を防ぐ「こぼれ止め」があるのもポイントですね。
ーデザイン的な特長はどんなところでしょう?
意匠面で前回と大きく変わったことは、デスクの上から引き出しにかけて縦に大きく丸みを帯びたデザインになったことです。
こちらは製造工場の技術が必要なので、製造現場との調整に苦労した点でもあるのですが、作り手側にもがんばってもらって、このデザインを採用することができました。このちょっとした丸みによって、デスク全体がとても優しい印象になったと思います。
デスクの脚も、実は少し斜めにデザインしています。デスクの安定感が増すのはもちろん、天板や引き出しの丸みと相性の良い、まとまり感のある感じになりました。
まっすぐの脚の方が製造効率は良いのですが、つくるのに工程が余分にかかっても、こだわりたかったところですね。
ーなるほど。グリーンとオレンジのカラーリングも、今っぽくて可愛いです。
「まなび」のコンセプトを踏まえて、「集中力を高める」青系のカラーと、「判断力・記憶力を高める」黄系のカラーをベースに選定しました。
男の子でも女の子でも選んでもらえるようなカラーになったと思います。最終的には、昨今のおしゃれなインテリアに馴染む、個性的なカラーになったと思います!
ー初めてお目にかかった、「ブォーノ3 キッズブックワゴン」もとても素敵です。
こちら、実はこれまで海外ではブォーノシリーズのひとつとして販売していたものがベースになっているんです。今回デザインを見直して、国内のブォーノシリーズにも仲間入りした新登場のブックワゴンです。
ブォーノの「学び」のコンセプトに合わせて、教材やA4ファイルが余裕で入る収納力のあるデザインです。仕切り板は上下共通で取り付け位置を調整できるので、収納したいものに合わせてアレンジできます。
ー材質は、とても手触りの良い印象ですが、どんな材を採用しているんですか。
木材は、ラバーウッド材を採用し、木目を生かした雰囲気に仕上げています。
ラバーウッドとは「ゴムの木」のことです。使用しているゴムの木は、計画的に植林・管理されているプランテーションの木材です。天然ゴムの原料になる樹液を採取したあと、本来なら捨てられていた木材ですが、最近は家具や建築に活用されるようになってきました。家具用に伐採されたものではなく、廃棄されるはずの木材を有効活用しているので、とてもエコなんです。
パイン材などと比べて少し重いですが、その重量が安定感につながるので、ラバーウッド材はこういった子ども用の家具に向いていると思います。また、木目が穏やかで手触りも良く、硬いため細かな傷がつきにくいのも特長です。
ーいろいろと「ブォーノ3」の魅力が知れて、とても楽しかったです。改めて、今回のリニューアルを振り返って、いかがですか。
改めて、子ども家具のふたつのブランドを見直しつつ、子どもたちがどんなシーンで、どう使ってくれるのかを考えながらリニューアルしました。
試作を何度も繰り返して、いろいろな人の意見を集めながら、製造現場のスタッフとも何度もディスカッションを重ねて、今回納得のいくものが完成して嬉しいです。
現在、yamatoyaの企画開発部は、ベテランデザイナーの伊吹と、設計を担当する若手3人、計4人のチームで動いています。
設計担当の3人は、ターゲットとなる世代層と近い感覚を持っていると思うので、伊吹デザイナーから家具のデザインについてたくさん学び、吸収しながら、想いをカタチにする力をもっと磨いていきたいです。機能性・デザイン性に優れているのはもちろん、温かみのある、たくさんのファミリー層に受け入れてもらえる家具を生み出していきたいです。
細部までこだわりを詰め込んだ「遊びながら学ぶ」ための家具、「ブォーノ3」。
開発に携わった企画開発部のチームはとても和気あいあいとした雰囲気で、とても良い関係性の中で家具が生まれるのだなあと感じました。
企画開発部のみなさん、ありがとうございました。
ライター 後藤麻衣子