悩みの尽きない子育て。
たくさんのママ・パパが抱えている大きな悩みのひとつが、「離乳食がうまく進まない」「食べない」という食事問題ではないでしょうか。
今回は、保育園で離乳食や幼児食の献立や調理を担当している管理栄養士のユキさんに、そんな離乳食の悩みについていろいろ質問してみました。
万能な解決策などない、正解のない難しい問題ですが「子育てを経験したひとりの親として、ひとつでも参考になれば…」と、インタビューに応じてくださいました。
《教えてくれたひと》
管理栄養士 ユキさん
管理栄養士、栄養士、介護食アドバイザー。大学を卒業後、高齢者施設で管理栄養士として勤務したのち、保育園へ転職し、園内の給食室にて乳・幼児食を担当。現在は保育園で離乳食を担当。2児の母。
月齢にとらわれすぎず、我が子のペースで!
ー「離乳食の開始は5ヶ月くらいから」と言われますが、離乳食開始のタイミングの目安はそれくらいなんでしょうか。
成長するにつれて、母乳やミルクだけでは栄養が偏ってしまうので「離乳食初期は5・6か月頃」と推奨されています。
実際に園でいろんなお子さんを見ていますが、離乳食の開始時期は家庭によりさまざまです。
月齢はあくまで目安で、お子さんの成長のペースに合わせて、始める時期を考えることが大事です。
ー成長のペースに合わせた「目安」とは?
「首がちゃんとすわっている」「支えてお座りができる」などの体の成長の目安もありますが、5〜6か月頃になってくると、親や家族が目の前で食事をしているのを見て興味を示すようになることも多いので、それも離乳食を開始するサインだと思います。
具体的には「うー」「あー」と声を出したり、よだれが出たり。
迷うことがあれば、病院で小児科医に相談したり、保健センターなどで管理栄養士や保健師に相談しながら、我が子の成長に合わせて進めて行けると良いですね。
ー離乳食を始める日を決めるとき、気をつけることはありますか?
まず気を配るのは「①お子さんが機嫌が良いとき」「②体調が良いとき」「③平日の午前中」の3つですね。特に初めて食べる食材は、焦らずひとつずつ試してください。
ー「③平日の午前中」は、何かあったときの受診を考えて、ですよね。
そうですね。アレルギー症状が出たときに対応できるよう、かかりつけの小児科の診療日にあたる、平日の午前中がおすすめです。
初めての食品を試すときは、体調や機嫌がいいときを選んでくださいね。
ーアレルギー食品を初めて与えるときは、とても緊張します。
卵や小麦など、アレルギーの可能性が考えられる食品については、みなさん特に躊躇されると思います。
初めて食べるときは「1種類ずつ」「ごく少量から」が基本です。
アレルギーに関しては自己判断で進めるのは怖いので、健診時などに自治体から配られるガイドラインに沿って、ひとつずつ確実に進めていきましょう。
ー「少量」というのは、具体的にどれくらいなんでしょうか。
リスクの高い卵などは、まずは固茹でした卵黄を耳かき1杯分くらい。ごくごく少量です。
比較的リスクの低い米や野菜は、ペースト状にしたものを小さじ1杯程度あげてみてください。
一口食べさせてみて「口の周りがちょっとだけ赤いかも」など変化を観察しながら、些細なことでも良いので「いつもと違うことはないか」を気をつけて見てあげてください。
ママやパパに、少しでも心の余裕があるときに
ーそのほか、離乳食をはじめる時期で気をつけることはありますか。
「この時期にこれを食べさせましょう」という、厚生労働省のガイドラインはあるものの、それはあくまで目安なので、完璧に準じないといけない、というわけではありません。目安として使いつつ、できることからひとつずつ進めていきましょう。
赤ちゃんのことばかり気にかけてしまいますが、結構重要だと思っているのが「親側にも余裕があるとき」。
個人的にこれは結構大事なポイントなので、ぜひ付け加えたいです。
ー赤ちゃん側ではなく、ママやパパ側も余裕のあるとき、ですか?
はい。初めての子育てだと、いろんなことが赤ちゃん中心で回っていきますよね。
でも、ママやパパも初めてのことで、心身ともに余裕がありません。
「時期が来たから離乳食始めなきゃ」「一回食を始めちゃったから、今日も必ず食べさせなきゃ」と、焦ってしまいがちなんですよ。
でも、そんなに頑なにならなくても大丈夫。離乳は「行きつ戻りつ」でもいいですし、何より離乳食を実行するママやパパに、少しでも余裕があるときで、一緒に楽しんで始められるタイミングだということも、とても大切だと思うんです。
ー確かに。「生後5ヶ月を迎える明日からきっちり離乳食始めなきゃ!」「始めたら何があっても必ず続けなきゃ!」と焦りがちです。
離乳食開始時の目安とされる「5〜6ヶ月」って、2ヶ月間もあるので、5〜6ヶ月のどこかで始められれば花丸です!
でも私も、第一子の離乳食はとても気が張っていたので、今のママ・パパの気持ちもとてもよくわかります。
5ヶ月を迎えると「始めなきゃ」と焦るし、周りが離乳食を始めたと聞くと気になっちゃうし…。
そんな感じでそわそわしてくる気持ちもとてもわかるんですが、まずは目の前の我が子をよく見て、あとは自分たちのことも大事にして、ほんの少しでいいから余裕があるときをうまく見つけて、自分たちのペースで始めてほしいですね。
ーママやパパのコンディションも、思った以上に大事なんですね。
例えば「春頃に離乳食を始めたいけれど、ママは花粉症がひどくて辛い」なら、花粉症がちょっと落ち着いて少しでも余裕が持てるようになってから始めよう!とか、それくらいで全然いいんです。
離乳食を準備して与える側のママやパパが焦ったり、イライラしたり、体調がしんどかったりしたら、赤ちゃんにもそれが伝わって、本来食べられるはずのものが食べられないかもしれないですし。
それくらい、ママやパパの「心」も大事だと、私は思っています。
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今回は、離乳食を開始するタイミングや、ママやパパの「心の余裕」についてのとても心強いお話でした。
次回は、離乳食の栄養バランスについてお聞きします。vol.3の公開をお楽しみに!
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