yamatoyaのアイテムの開発秘話について深掘りしていく「家族の家具のこと、もっと話そう」シリーズ。
第六弾となるのは、今夏デビューする「リリト リトルベビーベッド」です。開発を担当した、yamatoyaの企画開発部のみなさんにお話をお聞きしました。
《お話を聞いたひと》
yamatoya 企画開発部のみなさん
ベビーベッドやベビーチェアをはじめ、yamatoyaの製品の企画・デザインはもちろん、製品開発や量産管理など、製造にかかわるさまざまなセクターを担当する、企画開発部のメンバー。
安全性に重きを置いた、ベビーベッドへのこだわり
ーyamatoyaの新しいベビーベッド「リリト リトルベビーベッド」について教えてください。
この「リリト リトルベビーベッド」は、折り畳みができるベビーベッド「パタン」のモデルチェンジ版として開発がスタートしました。
パタンはミニベビーベッドサイズだったんですが、さらに小さな独自サイズも視野にいれつつ、コンパクトなベビーベッドという点をベースに、企画が進んで行きました。
部屋が狭かったり、部屋の形状が特殊だったりして「ミニベビーベッドでも大きくて置けない」というご家庭や、「ベビーベッドは1才ごろまでの一時的なものでいい」というニーズに応えられる、yamatoyaとしての新しいベビーベッドの選択肢の提案にしたいと考えて開発しました。
ーなるほど。開発はどんな感じで進んでいったんでしょう?
パタンの「ベッドが畳める」という機能については、里帰り先での使用など「使わないときは畳んでおける」というメリットのほかにも、「畳めば家の中を移動できる」という需要もありました。
ただ、畳まずに移動できるならその方がきっとラクなので、現代の住環境に合わせた、移動しやすい小さなベッドがあってもいいのではないか?という仮説を立てました。
同時に、弊社のベビーワゴン「リリワゴン」が終了するというタイミングでもあったので、ワゴンの機能についても意識しました。リリワゴンは、赤ちゃんを寝かせたままでも移動できるというのがコンセプトでしたが、あくまでリリワゴンは「ベビーワゴン」で、厳しい基準を満たした「ベビーベッド」とは条件が違ったんですよね。
でも、家の中でリビングや寝室など、あちこち移動したいという需要はあると感じていたので、yamatoyaとしては安全性というところに重きを置きつつ、「ベビーベッドの安全基準を満たしたもの」で、かつ「ミニサイズよりもさらにコンパクト」、さらに「家の中を移動しやすい」というベビーベッドを実現できたら一番いいのではないか?という方向へ進んでいきました。
移動しやすいコンパクトさと、寝返りができるサイズ
ーサイズ感は、どのように決めていったんでしょう?
一般的な住宅、主にアパートやマンションなどの集合住宅の規格をいくつか洗い出して、廊下の幅だけでなくドアの厚みや有効開口部の寸法なども加味しつつ、検証を行いました。ほとんどの住宅で「畳まなくてもそのまま移動できる」というサイズ感を探っていきました。
リビングから寝室への移動はもちろん、狭い廊下を通って、脱衣所などへも移動できること、ストレスなく扉部分を通過できるようなサイズというのをいくつも出していきました。移動の利便性を考えてただ小さくすればいいだけではなく、赤ちゃんが1才頃まではゆったり寝転べるサイズ、寝返りもできるサイズという、ベビーベッド本来の役割を満たすサイズ感も守りつつ、お互いの条件のせめぎ合いで最もベストだと言えるサイズを突き詰めていった感じです。
「ミニベビーベッドでもちょっと大きくて部屋を占領してしまう」というご家庭や、「ベッドを畳んだりせずに部屋間を行き来したい」というご家庭に受け入れてもらえるベッドにしたいなと思い、サイズにはかなりこだわって慎重に進めていきました。
ーちなみに、そうしたお悩みのあるご家庭はというのは、今までどんな風に赤ちゃんの居場所を作っていたんでしょう?
お客様の声をたくさん拾ってみると、「寝返りをするまではクーハンを活用している」というケースのほか、「海外製のベビーワゴンを使っている」というご家庭も多かったような印象です。
でもやはりyamatoyaとしては、ベビーベッドを提供する国内メーカーとして、日本の厳しい安全基準をしっかりクリアした「ベビーベッド」として、そうしたライフスタイルにも応えるサイズ感のものを提供することで、赤ちゃんの眠る場所の安全性を確保したいという思いが強かったです。
「リリト リトルベビーベッド」は、国が特別特定製品として指定しているベビーベッドの安全性が認証された、PSC・SGマークを取得した商品です。手軽に使えるけれど、それだけじゃない、きちんと裏付けされた安全性のもとで、安心して育児をしてもらえたら嬉しいと思っています。
組み立てやすく、移動させやすい設計
ー開発を進めるにあたって、細かな仕様などでこだわったところはどんなところですか?
組み立てを簡素化しました。
届いたらすぐに使えるように、という点ではかなり工夫しました。ベビーベッドの組み立てというのは複雑になりがちなのですが、なるべくシンプルな設計と組み立て方法を採用することを意識しました。
リリトは、折りたたみ式の構造なので、箱から出して本体を広げ、床板をノブボルトで本体に固定するだけで、工具を使わずベッド本体を組み立てることができます。あとは付属の工具を使ってキャスターを付ければ、すぐに使うことができます。
基本的には、畳まなくてもマンションの廊下などを通ることができるサイズですが、来客時などで部屋の広さを確保したい時などに、折りたたんで置いておくこともできる仕様です。
床板は、赤ちゃんの成長に合わせて、5段階で高さを調整できる仕様ですが、まだ月齢が小さいうちは、高い位置でお世話がすることができます。ママ・パパの腰への負担が少しでも軽減できるように、高さにもこだわりました。
ー毎日のように移動しながら使ってもらうことを想定しての開発でしたが、その点で気をつけた点や、工夫した仕様などありますか。
スムーズに移動ができるように、キャスターは大きめのものを採用しました。
国が定める基準で行う検査はもちろんクリアしたあとで、さらに過酷な環境でも耐久性が保たれるかを調べてみるために、1500回、カウントをしながら段差のある廊下を想定した場所を行き来してみて、キャスターの劣化を調べるという、独自基準の耐久性テストをコツコツ行いました。
開発部のみんな、筋肉痛になりながらのテストでしたが(笑)、でも検証をしたことでキャスターの強度も十分だということがわかって、よかったです。
ー赤ちゃんを迎えたご家庭で、これから「リリト リトルベビーベッド」をどんな風に使ってほしいですか。
リビングと寝室の行き来など、ママやパパのライフスタイルに合わせてフレキシブルに使ってほしいと思っています。
ちょっとリビングでメイクするとき、キッチンで家事を片付けるときもすぐに移動させて、そばに寝かせておけるととても安心だと思います。
あとは、ワンオペでの入浴時などに「赤ちゃんを一時的に寝かせて置く場所がない」というお悩みもよく聞きます。リリトなら、ベッドごと脱衣所へ連れていくこともできるかもしれません。
そのほか、お部屋が狭くてミニベビーベッドだと大きすぎるというご家庭、里帰り先など一時的に使いたいというシーンなどでも、活躍するベビーベッドになると嬉しいです。
ー改めて、「リリト リトルベビーベッド」の開発を振り返って、いかがですか。
ご家庭の数だけ、赤ちゃんの数だけ、いろんな暮らし方があり、いろんな育児のスタイルがあると思います。yamatoyaはベビー家具メーカーとして、どこまでも子育て家庭に寄り添いつつ、子育てに奮闘しているママやパパが一番ほしいものってなんだろう?というところを問い続けて、商品を開発していきたいと思っています。
「リリト リトルベビーベッド」は、yamatoyaが新たに提案する、今までになかったサイズ性のベビーベッドです。ベビーベッドのある暮らしの選択肢を広げることのできる、そんな商品になってほしいと願って開発しました。誰かにとって「こういうのが欲しかった!」という、育児をラクにしてくれる存在、家族の時間を楽しく快適に過ごすために欠かせない存在になれたら、とても嬉しいです。
これからも「安全」にとことんこだわりながら、多くのご家庭で愛用してもらえるようなベビー家具を開発していきたいと思います。
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現代の暮らしに寄り添った、ミニベビーベッドよりもさらに小さなリトルベビーベッド「リリト」。ただ小さくて運びやすいだけじゃない、開発チームのみなさんの細かなこだわりを、たくさん聞かせていただきました。
企画開発部のみなさん、ありがとうございました。
ライター 後藤麻衣子