yamatoyaのアイテムの開発秘話について深掘りしていく「家族の家具のこと、もっと話そう」シリーズ。今回は、この秋発売予定の新しいベビーベッド「ノモック」のお話です。
開発を担当した、yamatoyaの製品開発チームのみなさんにお話をお聞きしました。
《お話を聞いたひと》
yamatoya 企画開発部のみなさん
ベビーベッドやベビーチェアをはじめ、yamatoyaの製品の企画・デザインはもちろん、製品開発や量産管理など、製造にかかわるさまざまなセクターを担当する、企画開発部のメンバー。左から、奥村さん、伊吹さん、松脇さん、根兵さん。
シンプルでベーシックなベビーベッドを
ー新登場のベビーベッド「ノモック」の開発について、教えてください。
ノモックは、シンプルながらも程よい機能性、ちょうどいい利便性にこだわった、yamatoyaのベビーベッドラインナップの中で最もベーシックなモデルです。
開発の経緯としては、2020年からずっと好評いただいていた「キホン」というベビーベッドの終売に合わせて、「今一度、ベーシックなベビーベッドをつくろう」と、新たなブランドの開発が始まりました。
このリリースを以て、現在yamatoyaのベビーベッドは、添い寝に特化した「そいねーる」、家の中を自在に移動できるコンパクトな「リリト」、そして最もベーシックな今回の「ノモック」、計3ラインナップになりました。
ーノモックの開発のコンセプトを教えてください。
ノモックはシンプルなルックスを意識しつつ、赤ちゃんのいる暮らしを考えて必要最低限の機能をさりげなく詰め込んだ、「これで十分、のひとつ上へ」をコンセプトとしたベビーベッドです。
とにかく赤ちゃんを寝かせる安全な場所が欲しい、過剰すぎる機能は必要ないと考える、シンプルなものを好むご家族のために、「これで十分」と思える機能+αにまとめました。
シンプルな分、それぞれのご家族の暮らしやライフスタイルに合わせやすいベビーベッドだと思います。
12段階の高さ調整&2つのトビラで楽々お世話
ー具体的には、どんなベビーベッドなんでしょうか。
背の高い人でもお世話がしやすいハイタイプにも、床中心の生活にも、どちらにも対応できる12段階の高さ調整ができます。また、前枠(長辺)のスライドドアだけでなく、妻枠(短辺)にも開閉扉がついているので、状況に合わせてお世話のアプローチが選べます。ちょっとした移動や掃除に便利なキャスターも付いています。
サイズは、ベーシックなレギュラーサイズと、狭い部屋でも置けるミニサイズの2サイズ展開です。どちらも一般的なベビーベッドのサイズなので、寝具も好きなものを使っていただけます。
ー高さがかなり幅広く調整できるのはいいですね。
ママやパパがなるべく楽にお世話ができること、赤ちゃんと視線の高さが合うことなどを意識して、高さ調整幅はかなりフレキシブルな設計にしました。最上段の床板の高さは76センチと、かなりハイタイプのベビーベッドになるので、背の高いママやパパでも、腰をあまり曲げずに立ったまま楽な姿勢でお世話ができます。
ひと昔前の、「ベビーベッドはママが使いやすいように」という考え方ではなく、女性男性関係なくお世話がしやすいベビーベッドにしたいという思いがあります。
脚フレームを外して使うと床板の高さは15センチまで下がるので、布団寝のママやパパでも、赤ちゃんが寝ている様子が良く見え、安心してお休みいただけると思います。ご家庭ごとに一番良い高さを探してもらえたら嬉しいです。
また、動かしやすくて安定感のあるキャスターが付いています。脚フレームはもちろん、ベッドに直接キャスターを取り付けることもできるので、脚フレームを外して低い位置でご使用のときも、ベッドのままコロコロと移動できて便利だと思います。
ースタイリッシュなデザインや、シックなカラーリングも素敵ですね。
全体的なフォルムとしては、「キホン」のときのようなスタイリッシュな感じを守りつつも、少し丸みを帯びた優しい感じ、安心感のあるデザインに仕上げました。木材の温もりや色合いを生かした肉厚なデザイン、ほんのり丸みを帯びたフォルムにすることで、赤ちゃんを覗き込む優しい雰囲気が出るのではないかなと思います。
ー今回、グレーが新色として登場しました。とてもいい色ですね!
「そいねーる」と「リリト」は、ナチュラルとホワイトというシンプルなカラーリングですが、「ノモック」にはもう少しカラーバリエーションを増やしたいと思っていました。
今回は機能も最小限にしたシンプルなベッドだからこそ、これをお家に迎え入れる人がワクワクしながら寝具の色選びやお部屋のコーディネートができるように、グレーを新たに加えました。
ノモックを選んでくださるような、シンプルな暮らしをされているお家の内装やインテリアは、白やナチュラルな雰囲気のものが多いんじゃないかなと思って、上品でマットな質感のグレーを選びました。
足し算しすぎない、ちょうどいい機能性を
ーベッド下に収納がついているタイプのベビーベッドもありますが、ノモックはそうではなく、かなりシンプルなデザインですよね。
ベッド下に収納用の棚がついているベビーベッドは確かに多いですが、その収納スペースを確保しようとすると、高さ調整がここまで自由にできなくなったり、組み立てが複雑化したりと、使う方にとってメリットばかりではないんですよね。
実際にベッド下収納を使っているご家庭でも、毎日使うものを入れておく人は少ない印象です。出し入れも大変だったりしますしね。特に近年、生活感のあるものをホコリが溜まりがちなベッド下に入れたくない、というお声もよく聞きます。
私たちは、「収納」という付属の機能を無理して充実させるよりも、とにかく「ベビーベッドとして」使いやすく、かつ安全だということに重きを置いて、開発を進めています。
物を選ぶときって「どうせなら収納できる方が良いかも…」と足し算で考えがちなのですが、それによってベビーベッドとしての機能が削がれてしまっては意味がないんですよね。
大和屋のベビーベッドの開発では、ベビーベッドは赤ちゃんを安心・安全に寝かせる場所であるという原点に立ち返ってから設計します。収納に限らず「あれこれ機能がついてます!」という足し算の視点ではなく、「ベビーベッドであること」を前提に足し算と引き算のバランスを考えています。
信頼を置ける工場と二人三脚でものづくり
ーノモックは、どんなところで作られているんでしょう?
ノモックは、ベトナムの工場で製造しています。今回はじめてお取引をすることになったのですが、とても素敵な工場です。
私たちもベビーベッドというとても厳しい安全基準のものをつくるので、安全性はもちろん、製品の品質や手触りなど、とにかくこだわりたいところがたくさんあるのですが、今回お願いしているベトナムの工場は、日本ブランドの家具、特にベビー・キッズ用の家具の実績も多く、きめ細やかな製造をしてくださるところなんです。
特に安全面についてはかなり心配りしてくださっていて、私たちもとても信頼を置いています。
以前から知っていた工場ではありますが、yamatoyaとしては初めてのお取引になるので、何度も現地に足を運び、検品はもちろん、工場内で製造工程のスタッフと話し合ったり、木部以外の部品の工場も訪問させていただいたりして、やり取りを重ねて今回の量産スタートに至りました。
製造に携わるスタッフ一人ひとり、とても真面目な方ばかりで、木材の加工がとても綺麗で丁寧で、仕上げが美しいんです。完成品の手触りもすごくしっとりしていて、ベビー家具として優しい仕上がりになっています。
コロナ禍での開発だったので、海外の工場への見学や量産の検品が難しい時期もありましたが、今はタイミングを見計らいつつ、なるべく現地で量産体制を確認できるようにしています。
これからも、末永く一緒にいいものづくりができるようにしていきたいです。
ーノモックの開発を振り返って、いかがですか。
今回は新たに信頼できる工場と繋がることができたので、さらに質の高いものを安定してお届けできるよう、引き続きがんばっていきたいと思います!ノモックはこの秋にリリースとなりますが、世に出ていくということは、これからさらにアップグレードしていく土台ができたということです。
今後もどんどんお客様の声を聞きながら、ブラッシュアップしていきたいと思います。
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yamatoyaのベビーベッドのラインナップの中でも、最もベーシックな「ノモック」。
シンプルだからこそ、細部までこだわりを詰め込んだベビーベッドは、まさに「これで十分、のひとつ上」。新しく開拓した工場の作り手の方々手を取り合って、自慢のベビーベッドが完成しました。
企画開発部のみなさん、ありがとうございました。
ライター 後藤麻衣子