「産後ケア」って、知っていますか。
産後ケアは、ママと赤ちゃんのケアや育児相談、母乳ケア、授乳・沐浴のアドバイスなどを日帰りや宿泊で、行ってくれる事業のことで、自治体の助成により、かなり低価格で利用できるところが多いです。
今回は、yamatoya magazineで取材や記事作成を担当するコピーライターが、3人目の出産を機にはじめて利用してみた、1泊2日の産後ケアをレポートします。
《プロフィール》
yamatoya magazineライター 後藤麻衣子
岐阜県岐阜市在住のコピーライター・編集者。LEGOマニアの長男(2016年生まれ)、砂場の砂を自宅に持ち帰るのが趣味の次男(2019年生まれ)、お兄ちゃんたちに可愛がられすぎる三男(2023年生まれ)の、賑やかな三兄弟の母。
「産後ケア」事業とは?
私は、2016年に長男を、2019年に次男を、2023年2月末に三男を出産しました。
長男と次男を出産したときは、産後ケアのことは知らなかったので、利用する機会がありませんでした。
産後ケアとは、出産後、体調や育児に不安のあるママやパパが安心して子育てができるよう、自治体が委託する医療機関などで、赤ちゃんとママの心身のケアや育児サポートをする事業で、宿泊や日帰りなどで利用できます。
私が住んでいる岐阜県岐阜市では、産後1年までのあいだ、宿泊と日帰りを合わせて最大7日(宿泊のみだと6泊7日)まで利用することができるそうです。
利用最大日数や、負担する料金などは自治体ごとに異なりますが、岐阜市の場合だと、宿泊(短期入所型)1泊2日3食付で6,818円、通所型(日帰り)1食付で3,409円と、通常よりかなり低料金で利用できます。
里帰りなしで、産褥期を乗り切るために
長男と次男が生まれたときは、産後数週間、実家へ里帰りしましたが、三男を妊娠して最初に考えたのは「里帰りをどうするか?」でした。
今回ばかりは「なんとか里帰りをせずに産褥期を乗り越える方法はないか…」と、夫婦であれこれ考えていました。
2023年3月上旬が出産予定日だった三男。
その3月〜4月というのは、長男は卒園&新一年生、次男は年少組に進級&転園という、かなり慌ただしいタイミングでした。
環境がガラリと変わるうえ、弟が生まれることで彼らの精神状態がゆらぐのでは?さらに私が里帰りして何日間も家を空けるなんて大丈夫?というのが一番の心配ごとでした。
いろいろ考えた結果、「里帰りよりも、私も自宅にいて彼らの心身のケアにあたりたい」と決め、実母の反対を押し切って、三男の産後は里帰りせず自宅で夫と協力して新生児期・産褥期を乗り越える計画を立て始めました。
最終的にそれを決意できたのは、市の産後ケア制度を知ったこともとても大きかったです。
夫は経営者なので育休を取得するすべがなく、勤務時間や在宅勤務の融通はきくものの、何ヶ月も休むわけにはいかないため、産後ケア制度をうまく使って産院にピンポイントでお世話になりながら、なんとか産褥期を乗り越えよう!ということに決めました。
妊娠中に利用申し込みを済ませておく
ここからは、ひとつの例として、私が住んでいる岐阜市ではどのようにしたかをご紹介します(おそらく自治体ごとに方法などは異なります)。
まずは、妊娠中に母子健康包括支援センターへ出向いて、産後ケアの利用申し込みを行いました。
産後ケアを利用する度にセンターへわざわざ出向いて申し込まないといけないというわけではなく、初回利用の前に一度申し込んで登録さえ済ませておけば、あとは電話予約で利用できるとのことでした。
私の場合は、新生児期に産後ケアを使う可能性が高そうだったので、妊娠中に先にセンターでの利用申込のみ済ませておき、必要なタイミングで電話して予約をする、という方法を取りました。
もちろん、産後に必要だと感じてから利用登録をすることも可能です。
うちの市では、センターへ訪問しての現地での登録が必要ではありましたが、窓口の方も私の体調をとても気遣ってくださり「体調に応じて、臨機応変な対応もできる限りしますので、なんでも言ってくださいね」と、とても利用しやすい雰囲気を感じました。
産後、新生児期に1泊2日で利用
私はまだ三男が生後0ヶ月の新生児期に、出産したクリニックで1泊2日、産後ケアのサービスを利用しました。
利用料金は、1泊2日3食付で6,818円です。
朝10時ごろ、クリニックに到着。
到着したらそのままナースステーションで赤ちゃんを預かってもらうこともできます(もちろん早速お願いしました)。私は早々にパジャマに着替えて、昼食の時間まで仮眠です。
12時、昼食。
豪華な食事が運ばれてきました。これも(これこそが?)産後ケアの楽しみのひとつ。ペロリと完食し、一度授乳を済ませて、またナースステーションで預かってもらいます。
15時には、おやつが運ばれてきました。
この日は、HERMESのカップ&ソーサーとプレートで運ばれてくる、パティシエのスペシャルスイーツの日でした。デカフェのコーヒーと一緒に、“ヌン活”さながらのおいしいスイーツを楽しみました。
食べて休んで撮影もして、のんびり過ごす
さらに、私が利用したクリニックでは、入院中や産後ケアのママに、ニューボーンフォトのサービスがあるとのことで、せっかくなので撮影させてもらうことに。
可愛い布にくるまれて、ぐっすり眠っているところをパシャリ。
こんな小さいうちの写真はなかなか撮れないので、とても良い記念になりました。
授乳を済ませてから、18時ごろに豪華な夕食が運ばれてきました。三男を預かってもらい、熱々のお鍋をゆっくりと味わいます。
温かくて美味しくて豪華な食事を、何も気にせずにゆっくりと食べられる幸せ…。
食事を終えたら、夫とビデオ通話をつないで、家で待っている長男と次男といろいろ話をしました。
余裕があったら淹れようと思って持ってきた、お気に入りのノンカフェインティーもゴソゴソと出してきて、のんびりと本でも読みながら食後のティータイム。
産褥期とは思えない漫喫っぷりです(笑)。
夜は、23時頃に一度授乳をして、あとは朝までミルクということでナースステーションで一晩預かってもらいました。
誰にも起こされずに朝まで寝ます。おやすみなさい。
とても名残惜しいけれど、朝10時に退院です
久しぶりにぐっすり眠れた翌朝。
頭も体もとてもすっきり気持ちよく起きることができて、もうそれが何より幸せです。
朝食とは思えないほど豪華な御膳も運ばれてきました。
栄養バランスもバッチリなので、心なしかいつもより母乳の分泌量も多いような気がしました(睡眠が取れているのも大きいかもしれません)。
毎日泣き喚いちゃう沐浴も、助産師さんや看護師さんがやってくれて安心。家での沐浴よりもずっと気持ちよさそうです。さすがプロ!
夢のような時間を過ごし、名残惜しいですが身支度をして、10時にクリニックを後にします。
お世話になった助産師さんと受付の方が「またいつでも来てくださいね」と、笑顔で送り出してくれました。
利用して数日経ってから、母子健康包括支援センターの職員の方から電話がありました。
産後ケアは問題なく利用できましたか?いかがでしたか?という、今回の産後ケアについての内容に加え、育児に困っていることはありませんか?今、頼れる方はいますか?といった内容でした。
(産後ケア、最高でした!とお伝えしました)
行政の事業を通して、こうして産後ケアを利用するということは、その2日間だけのサポートだけではなく、こうした新たなつながりもできて、地域で我が子の成長を見守ってくれることの一歩だということに、改めて気がつきました。
「ひとりじゃない」と思えた、産後ケア
食事もサービスも、もちろん心身のケアも、至れり尽くせりの1泊2日でした。
人それぞれ、利用目的はあると思いますが、私の場合は「とにかく寝たい」。
日々の細切れ睡眠+お兄ちゃんたちのケアや夜泣きに限界を感じ、ゆっくり体を休めたいというのが一番の目的だったので、三男はほぼずっとナースステーションに預けて、ゆっくりさせてもらいました。
寝ていたら、おいしいご飯やおやつが運ばれてきて、食べ終わったらゆっくりお茶でも飲んでまた寝る、という、天国のような場所…。
入院中から大好きだったクリニックの食事をもう一度味わえて、とても満足でした。
母乳の分泌がまだ軌道に乗り始めたばかりの頃だったので、3〜4時間おきに授乳はしましたが、それでも数十分ごとに泣かれておむつを変えたり抱っこしたり…という毎日に比べると雲泥の差です。
赤ちゃんのことをお願いできるプロがいる安心感、別室なので泣き声が聞こえないという物理的な隔離もよかったのか、想像以上に心身ともにゆっくり休めた1泊2日でした。
クリニックの助産師さんたちにも、母子健康包括支援センターの方にも、我が家の育児を見守っていただけている実感も生まれ、「一人じゃないんだ」と改めて感じる出来事でもありました。
今回は預かってもらうことがメインでしたが、もしこれが初産の新生児期だったら、きっとじっくり母乳指導をしてもらっていたと思います。
長男のときは、とにかく母乳が足りているのかが心配だったので、クリニックなら体重計で哺乳量を測ることができて足すミルク量がわかりやすいし、授乳のたびに助産師さんに母乳指導をしてもらえると、とても安心できると思います。
三男も1才までは利用できるので、「ちょっとゆっくり休みたいな」というときに、また気軽に利用してみたいと思います。
「産後ケア」は、育児に不安がある人はもちろん、ママの体を休めるために利用するのもおすすめです。
レポートを参考にしていただきつつ、ぜひ、お住まいの自治体のサービスを調べて、利用を検討してみてくださいね。