まだまだ寒い日が続き、風邪やインフルエンザ、胃腸風邪の流行に終わりが見えません。
子どもの食事内容や栄養バランスに気を取られてしまって、自分たちの食事にまで気が回らない…!というママやパパは多いのではないでしょうか。
今回離乳食アドバイザーの上西さんに、子育てに忙しいママやパパに不足しがちな栄養素と、おすすめのレシピ、そしてこの時期の食事で気をつけたいことについてお聞きしていきます。
《教えてくれたひと》
離乳食アドバイザー
上西 由理佳 さん
料理教室の先生として、幼児から大人まで幅広い年代向けの料理・パン・製菓のレッスンを担当。製菓専門学校の講師として、パティシエを目指す学生の指導にもあたる。離乳食アドバイザーの資格を持ち、保育園でのおやつ作り体験会や、保護者向けアプリ内にて離乳食レシピ、How-toコラムなども担当している。5才、3才の2児の母。
「子どもさえ良ければ…」はNG!大人の食事も大切に
「子どもの食事には気を遣っているけれど、自分たちの食事は適当になりがち」というママやパパは多いと思います。
ある調査によると、約8割のママが「自分の食事には気を遣えていない」と回答していて、そんな日々の積み重ねから「新型栄養失調」と言われる栄養不足の症状が出ることもあるそうです。
「新型栄養失調」とは、摂取カロリーは足りているのに、ビタミン、ミネラル、食物繊維といった特定の栄養が不足することで体の不調につながる、いわば現代版の栄養失調のこと。
そうならないためにも、子どもの食事だけでなく、ママやパパの健康管理にも気を配っていけると理想です。
子育て中のママ・パパに不足しがちな栄養素として挙げられるのはいくつかありますが、主に意識をしたいのはこの3つです。
・たんぱく質
・ビタミン
・ミネラル(カルシウム、鉄、マグネシウムなど)
忙しいママ&パパにこそ摂って欲しい栄養補給食
「栄養バランスよく食べたいけれど、日々の子育てや、家事や仕事との両立でなかなか時間がない」というのが、子育て中のママやパパの本音だと思います。
落ち着いて食事をとる時間もなく、自分自身のことは後回しになりがちですが、隙間時間に食べるものの栄養素を少し意識するだけでも、その積み重ねが、健康な体づくりにつながっていきます。
それでは、そんな多忙なママやパパにぜひ意識して摂ってほしい、パパッと食べられるおすすめ食材をいくつかご紹介します。
まずは「卵」です。
たんぱく質の塊とも言える卵は、とても優秀な食材。ゆで卵にしてそのまま食べるも良し、手軽に卵かけご飯にしたりと、あまり手をかけなくても手軽に食べられて、栄養を補給することができます。
日常的にぜひ食べてほしいのが、豆腐や納豆といった「大豆製品」。
これらの大豆製品はご存知の通り、たんぱく質やビタミン、ミネラルがとても豊富。
離乳食の取り分けにも使いやすいので、ママも一緒に摂れると理想的ですね。
わかめやあおさといった海藻類と一緒に豆腐の味噌汁をつくって、ミネラルも一緒に摂るのがおすすめです。
もうひとつ、気軽に食べられるものの代表に「果物」や「生野菜」があります。
調理しなくても食べられる、みかん、いちご、バナナ、トマトなどは、ぜひ冷蔵庫に常備しておいて、パクッといつでも食べられるようにしておくと良いでしょう。
たくさんの栄養素が詰まった「魚」もとてもおすすめなのですが、「骨があるので子どもに食べさせるのが大変」「調理に手間がかかる」という一面もあります。
忙しくて体が疲れているときこそ、おすすめしたいのが手軽に食べられる「お刺身」です。
魚類には良質なたんぱく質、鉄分、カルシウム、そしてDHA、EPAなど体に良い必須アミノ酸が多く含まれています。
スーパーでお刺身のパックを買ってくれば、大人は手軽に生のまま食べられて栄養補給ができますし、離乳食期の子にはゆでてあげたり、幼児食の子には焼いてあげたりして、食べさせてあげることもできます。
骨処理要らずで扱いやすく、子ども用の調理も簡単なので、お刺身は家族みんなで楽しめるという意味でもとてもおすすめしたいです。
おすすめお手軽メニュー「味噌玉で作る味噌汁」
忙しい朝や、ちょっと小腹が空いた時に。
お湯を注ぐだけ味噌汁を手軽に作ることができる「味噌玉」をご紹介します。
味噌と粉末カツオを混ぜて団子状に丸めたものに、ごま、青のり、乾燥野菜、乾燥わかめなどをお好みでくっつけます。
冷凍保存ができるので、一つ一つラップに包んで作り置きしておけば、使いたい時に使えて便利です。
お椀に味噌玉を入れて、お湯をかければすぐにお味噌汁が飲めます。
子どもと一緒に作るのも楽しい「味噌玉」。ぜひ、作り置きメニューとして覚えておいてもらえたらうれしいです。
丈夫な体づくりは食生活から
毎日毎食、バランスの良い食事ができるのは理想ですが、なかなか難しいもの。
毎食バランス満点でなくても、「1日の中で3食(+おやつ)のトータルバランスが良ければOK」という考え方で大丈夫です。
そしてやはり、ママやパパがいつも元気であることもとても大事です。
子どもの栄養バランスに気を取られて、自分の体調や食事が適当になってしまっては意味がありません。
家族みんなが健康でいられるように、ぜひ、自分たちのことも大切にして、家族で楽しい食事の時間を楽しんでくださいね。
子どもの食事について、悩んだりうまくいかずに困った時は、近隣の保健センターや子育て支援センターの方、栄養士、かかりつけ医、離乳食アドバイザーに、気軽に相談してみてください。
参考文献
・梶尚志著「え、私って、栄養失調だったの? その不調は病気でなく状態です!」(みらいパブリッシング/2023.7)
・那須由紀子著「栄養で人生は変わる-食はあなたの人格を作り、人生の善し悪しも決める!-」(旭屋出版/2018.7)