2024年7月2日、大和屋は創業100周年を迎えます。まちの小さな家具屋さんとして始まった大和屋のあゆみについて、商品の移り変わりとともに、振り返ってみました。
はじまりはまちの小さな家具屋さん
1924年7月2日、愛知県安城市に「大和屋タンス店」として創業した大和屋は、その当時、お店の裏手で特注家具など木に関するものを製造し、表で販売するまちの小さな家具屋さんでした。
初代・太田四方蔵(おおたよもぞう)は家具屋で修業を積んだ家具職人。「タンス」だけでなく、建具や工場の作業台にいたるまで、必要に応じてさまざまな木製家具を手がけていたそうです。
1946年には「合名会社大和屋」を設立し、1958年に赤ちゃん用の「ベビータンス」の製造を始めました。
それは四方蔵の長男・昭夫が取引先から依頼を受けたきっかけがありましたが、折しもその当時、昭夫に長女が生まれたタイミングでもありました。
この「ベビータンス」の大きな扉の中は洋服がかけられるハンガーパイプがついていて、子どもサイズの服をかけるのに十分な高さです。赤ちゃん用の小物も収納しやすい小さな扉と小引き出し。そして下には洋服も入る大きな引き出し。子どものものがすべてこのタンス一棹(さお)に収まる仕様です。
このベビータンスをきっかけに、1962年には育児家具専門メーカーとなり、この形状の家具を「ベビータンス」として大和屋が世の中に広めていきました。
「ベビータンスの大和屋」へ
1967年、2代目として太田昭夫(おおたあきお)が就任し、育児・子ども家具のブランド「Petit(プチ)」を創設しました。
その後30年余り、「ベビータンスの大和屋」として、さまざまなベビータンスを製造し、多くの子どもの成長のそばにありました。
当時、地域差はありますが、子どもが生まれたらタンスを一棹用意し、里帰り出産から戻る時に、嫁入り道具のように赤ちゃんとともにタンスを運び入れ、お披露目をする習慣などもあったそうです。
タンスにとどまらず、おもちゃ箱やベビーベッドなど、子どもの成長に必要なアイテムをシリーズとして製造・販売していました。
タンスからベビーチェア・ベビーベッドへ
1990年代後半になると、核家族化や住宅環境の変化が進み、タンスからクローゼット・作り付け家具が主流となる世の中へと変わっていきます。
ベビータンスの需要が減少し、大和屋に大きな転換期が訪れます。
2000年、大和屋の代表商品となる「すくすくチェア」の販売を開始。高さ調整ができ、赤ちゃんから大人まで座れるベビーチェアは、当時の日本ではまだ数少ない商品でした。すくすくチェアはそれからお使いの方の声を取り入れモデルチェンジを重ねることで、累計販売台数110万台を突破するロングセラーのシリーズとなりました。100周年を迎える今年、最新モデル「すくすくチェアGL」「すくすくチェア スリムーJ」が登場しています。
2002年には、3代目として太田啓一(おおたけいいち)が就任。より時代に合わせた海外展開を強化していきます。
ベビーベッドの自社設計による海外生産もスタート。
ベビーベッドには厳しい国の安全基準がありますが、それをクリアしながら、世の中にない子育てを楽しくするベビーベッドを作りたいと、時には顔のデザインや動物のデザインを取り入れたベビーベッドであったり、初めて国に認定された双子用のベビーベッドも作り出しました。
実はこんな商品もつくっていた!
2000年代には、学習デスクとベッドが一体化したロフトベッドや、ベビーベッドから学習デスク、シングルベッド、ダイニングテーブルや食器棚などまで、すべてお部屋の中を揃えられる赤ちゃんから大人カジュアルまでのトータル家具シリーズも展開。
中には「北欧の街並みをお部屋に再現」をコンセプトに、おうちの形のチェストや車の形のベッドなどシリーズ展開した商品もありました。
「赤ちゃんのものも、大人のものも、すべて同じ家具シリーズでトータルコーディネートできたら」「お部屋に置いてあるだけで可愛い、子ども部屋にもっと夢のある商品を」など、数々の試みを行ってきました。
yamatoyaのベビーベッド代表商品の誕生
2015年、大人のベッドと高さを合わせ赤ちゃんと安全に添い寝ができるベビーベッド「そいねーる」の初代モデルが登場。この商品は実際にベビーベッドを使って子育てをしたスタッフの発想から生まれた商品でした。「今のベビーベッドでは寝室に入らない」「赤ちゃんをそばで安全に寝かせたい」「夜中のお世話をもっと楽にできるようにしたい」そんな思いからうまれた「そいねーる」初代モデルは、添い寝にとことん特化し、6畳の寝室のすき間にはいるサイズ性に加えて、赤ちゃんの様子がより近くでわかるように幅も狭く、使用年齢も1才まで、という特殊なものでした。今までになかったサイズ・機能性のベビーベッドを商品化し、多くの方に知っていただくためにはいろいろな苦労もありました。
その後、改良を重ね、より使いやすいようモデルチェンジを行いました。現在は、市販のミニ布団が使える「そいねーるミニ」と6才まで長く使える「そいねーるラージ」として、添い寝ができるベビーベッドを作り続けています。
時代が変わっても、変わらないもの
まちの小さな家具屋が、育児家具専門メーカーとなり、時代とともにベビータンスやベビーチェア、ベビーベッドなど製造する商品を変化させてきました。
その中でも変わらない軸は「子どもの暮らしにかかわる木製の家具」であること。
いつの時代も品質と木にこだわり、子どもへの思いをカタチにしながら100年を迎えました。
現在は商品のカテゴリを子どもの「コト」(行動)にまつわる名称で分けて商品を展開しています。
子どもの「ねる」=ベビーベッド。
子どもの「たべる」=ベビーチェア。
子どもの「あそぶ」=キッズデスクや絵本棚など。
子どもの行動、成長、子育てに寄り添い、これからも子どもとの暮らしがより楽しく、家族の笑顔が広がるために必要なものを提供できる企業でありたいと考えています。