#100周年

子ども家具からうまれた「カトラリーセット」で、未来へ続くやさしい暮らしを

2024.09.18

大和屋は、木製にこだわった子ども家具メーカーです。

ただ、木製のため、修復不可能な傷がついてしまったものや欠けてしまったものなど、商品として流通することができない部材が、どうしても出てきます。

「それを廃棄するのではなく、大切な資源として活用することはできないか?」と、これまでも社内でさまざまな試みを行ってきました。

 

そして、創業100周年を迎えた2024年秋。

試行錯誤の末、大和屋オリジナルの廃材活用アイテムが完成しました!

今回は、できあがるまでの紆余曲折や、私たちが廃材活用に込めた想いについて、改めて振り返ってみました。

社員の一言から始まった「ハイ活」プロジェクト

家具職人の初代が創業し、かつては「ベビータンス」を作っていた大和屋。

創業当時から、「木製」にこだわった子ども家具を作り続けています。

 

自然素材である木でつくる家具は、一点ごとに表情が異なり、個性もいろいろ。

しかし、自然素材ゆえに、加工後に欠けてしまったり、塗装後に大きな傷がついてしまうと、修復は困難を極めます。

そうした傷や欠けにより、お客様にお届けできない部材がいくつかあり、以前は廃棄するほかありませんでした。

あるとき、社内の一部のメンバーから、「この廃材を活用する方法はないか?」という問いが。

「廃材活用によりゴミを減らし、環境に配慮する側面だけでなく、それによってお客様に喜んでもらえるものができれば、貴重な木材を通して新しいコミュニケーションができるかもしれない」。

そんな思いで、まずは自分たちで活用方法を模索するところから、この廃材活用プロジェクトが立ち上がりました。

 

プロジェクト名は、「ハイ活(=廃材活用の略)プロジェクト」。

社内の一部の有志が集まり、「ハイ活」を合言葉に、新たな取り組みがスタートしたのが2022年のことです。

 

なかなかうまくいかない、試行錯誤の日々

最初に試したのは、まさにベビー家具メーカーらしいアイテム、「つみ木」。

廃材をカットして角を丸く研磨し、小さな子どもでも遊べるつみ木をつくろうと考えました。

ただ、ベビーチェアやベビーベッドの部材は、平らなものや細い棒状のものが多く、小さな子どもでも安心して遊べる形にするのは難しく、つみ木作戦はあえなく断念となりました。

 

次に試したのは「紙漉き」です。

そもそも紙漉きの材料は、木の皮。もしかすると廃材を粉砕して、その木くずや木の粉から紙をつくることができたら?さらに親子参加型のワークショップで楽しめたら面白いのでは?という斬新なアイデアが出ました。

紙漉きの方法を調べ、鍋で煮て紙料(液)をつくり、紙を漉いてみました。

しかし、結果は散々…。紙と呼ぶには程遠い、分厚い木くずの板のようなものができあがり、紙漉き作戦は大失敗に終わりました。

 

「平らな部材が多いのなら…!」と、パズルづくりにもチャレンジしました。

こちらは実際に親子参加型のワークショップで活用され、たくさんの子どもたちに遊んでもらいました。

形にはなったものの、一部の平らな部材しか使うことができず、棒状や、ほかの形状の材は余り続けていきます。

そのほかにも、棒状の部材をつかって、塔のように高く積み上げていくゲームをつくってみたり、木琴のような楽器もどきをつくってみたり…。

お手玉の中に木くずを入れたらどうなる?と試したこともありました。

 

思いつく限りの活用方法に挑戦しましたが、どれもなかなかうまくいかず、ハイ活プロジェクトメンバーの試行錯誤は続きます。

 

木+植物性プラスチック=新素材 !?

ある日、SDGs関連のイベントで、ある企業と出会いました。

さまざまな原材料と樹脂を複合することで、環境に配慮した複合樹脂として、新しいものを作り出す技術を持つ企業です。

これまでにも、樹脂製品への活用は試みたことがありましたが、大和屋の廃材は塗装加工後のものがほとんどで、断られることが多かったのですが、こちらの企業は製品化したあとの廃材でも、塗装を剥ぐなどの工程を経て粉砕して植物性プラスチックと合わせる技術を持っていることを知りました。

その企業の協力のもと、製造工程や強度のテストを経て、いよいよ製品開発を進めていくことに。

改めて「廃材を活用して、新たにつくりたいものはなんだろう?」と考え抜いて、わたしたちが決めたのが、「カトラリーセット」でした。

コンセプトを固め、製品やパッケージのデザインが進んでいきます。

 

プラスチックのアイテムを成形するためには、「ペレット」と呼ばれる小さな粒状の材料が必要です。

このペレットに熱を加えて型に流し込んで冷やし固めることで、商品の形をつくっていきます。

今回は、このペレットに木材を混ぜ込んだ複合成形材料をつくることで、木を材料にした「廃材を活用したカトラリー」になるというストーリーです。

 

まずは廃材を選定し、金具などを取り除き、塗装を剥いで、使いやすいサイズにカットします。

さらさらの木の粉の状態になるまで木材を粉砕したら、熱を加えながら植物性プラスチックのチップと混ぜ合わせていきます。

木の粉と樹脂を混ぜ合わせたペレットはあたたかく、なんだか甘い香りがしました。

ここからは、通常のプラスチック成形工程と同じです。

ペレットを熱で溶かし、それを金型に流してカトラリーの形にしていきます。

 

こうして、これまでは捨てるほかなかった木材と、植物性プラスチックを融合して、新たな材料として生まれ変わらせることで、自社オリジナルの「yamatoya携帯ecoカトラリーセット」が完成しました。

これまで試行錯誤を繰り返してきた廃材活用の、ひとつの答えに出会った瞬間でした。

「カトラリーセット」に決めた、私たちの想い

木材が樹脂成形の材料になることがわかり、「どんなものをつくろう?」「何がいいかな?」と、みんなでアイデアを出し合いました。

最終的に、カトラリーセットに決めたのには、大切な理由が3つあります。

 

一つ目は、「子どもの“食べる”を支えたい」。

ベビーチェアを手がけるメーカーとして、子どもの「食」の場面に積極的に関わっていきたいという想いがとても大きいです。

 

二つ目は、「子どものいる暮らしに、便利なものをつくりたい」。

外出先や訪問先で、子ども用のスプーンや取り分け用の箸がなく、困った経験のあるママやパパは多いと思います。携帯可能なカトラリーセットを持ち歩いておくと安心で、ちょっとしたタイミングで役に立てるのではないかと考えました。

 

三つ目は、「環境に優しいものを、子どものいる暮らしの中に届けたい」。

カトラリーセットを携帯することで、使い捨てのスプーンや箸を使わず、ゴミの削減につながります。

また、デザインや機能面にもこだわりました。

セット内容は、スプーン、フォーク、箸の3種類。

持ち手部分と先端部分が分かれているので、必要な組み合わせにして使うことができます。

 

一般的に携帯用の箸は、短すぎて使いにくいものが多いですが、今回のカトラリーセットは、大人でも十分使いやすい長さを考慮しました。

 

スプーンは、先端を直線的なデザインにしました。これにより、お皿にフィットして掬いやすいだけでなく、口にも入れやすく、子どもも大人も快適に使える形状と大きさになりました。

フォークは先端を尖らせすぎず、でも刺しやすくて掬いやすいデザインを追求しました。

 

そのほかにも、ケースの開け閉めや箸の抜き差しのしやすさなど、試作を何度も重ねて、時間をかけてできあがったのが、この「yamatoya携帯ecoカトラリーセット」です。

子どもはもちろん、大人も使いやすい、すべての人にやさしいカトラリーセットが完成しました。

 

廃材活用から、子どものいる暮らしを支える

大和屋は今年100周年を迎えましたが、これはあくまで通過点です。

この先の100年、さらにもっと先まで見つめて、「子どもとの暮らし」を考えていきたいと思っています。

 

今回の廃材活用によるカトラリーセットの開発は、その第一歩目。

未来を考え、環境に配慮し、限りある資源を有効に使うこと、そしてその活動をいかに持続し続けられるかが、とても大切だと考えています。

 

このカトラリーセットが、多くの方の手に渡ることで、その人自身の暮らしも、環境を大切にした暮らしになっていきます。そんな循環を、yamatoyaからうみだし、これからも長く続けていきたいと思います。

 

今回、このカトラリーセットをつくるために、多くの方にご協力いただきました。

ありがとうございました。

 

大和屋はこれからも、さまざまな取り組みに積極的に取り組んでまいります。

 

yamatoya 100周年記念ページはこちら

 

*「yamatoya携帯ecoカトラリーセット」は食品衛生法に適応した商品です。

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わたしたちは、子ども家具メーカー「yamatoya」です。

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