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子育てと孫育て vol.1「祖父母世代のギャップと向き合うには?」

2025.01.01

待望の赤ちゃんが生まれると、ママやパパだけでなく、祖父母も親戚も歓迎モード。
里帰りなど、祖父母の手を借りる場面が増えていく人も多いでしょう。
でも現代の子育ては、祖父母世代が経験した30年前の子育てと大きく異なります。そのギャップがときに、家族間の関係性を歪ませてしまう可能性も大いにあるのです。

今回お話をお聞きするのは、NPO法人「孫育て・ニッポン」。

家族の祖父母を含めた関係がより良くなり、地域社会のおじいちゃん、おばあちゃんが増え、子どもたちが健やかに育つ社会づくりを目指しているNPO法人です。
理事長のぼうだあきこさんに、「孫育て」のポイントを通じて、パパママ世代と祖父母世代の、世代間ギャップにどう向き合えば良いのかをお聞きします。

教えてくれた人
NPO法人 孫育て・ニッポン 代表理事
ぼうだあきこさん

「NPO法人孫育て・ニッポン」理事長のほか、「NPO法人ファザーリング・ジャパン」理事、「一般社団法人産前産後ケア推進協会」監事、「3・3産後サポートプロジェクト」リーダーなど。産前・産後アドバイザー、防災士。
編集者としてのキャリアを持ち、育児雑誌や医療系の編集、育児サイトの立ち上げ・運営など、多岐にわたる分野で活躍。2011年に「NPO法人 孫育て・ニッポン」を設立し、子育てや孫育てに関する講座やプロジェクトを全国で展開し、家族間や地域社会での子育て支援の輪を広げるための啓発活動を行う。各自治体で配布されている「祖父母手帳」の制作も担う。著書に『祖父母に孫をあずける賢い100の方法』(岩崎書店)、2024年4月に発行したばかりの『娘が妊娠したら知りたい50のこと』(イースト・プレス)監修。

NPO法人 孫育て・ニッポン https://www.magosodate-nippon.org/

 

情報の進化と、祖父母とパパママの世代間ギャップ

ー「孫育て」についてお聞きする前に、昔と今の子育ての環境の違いについて、ぼうださんが感じていることを教えてください。

昔も今も、「周囲みんなで協力し合って、手をかけ目をかけ小さな命を育てていく」という、子育ての一番大切なところは変わっていないと思っています。
ただ、昔と今とでは、お世話の方法や育児用品などが驚くほど変わっています。
そして祖父母世代は、その「変わっていること」に気づいていない人もいます。

例えば、お風呂上がりの赤ちゃんのケアひとつをとっても、「お風呂から出たら白湯を飲ませる」「ベビーパウダーをつける」といった、祖父母世代が常識と感じている習慣は、今では逆に推奨されていないことが多いです。こうして医学や栄養学の進歩によって、子育ての常識は日々アップデートされています。

現代のママ・パパは、病院や保健センターで学んだ最新の子育て情報や、Web上の情報を頼りにしています。
一方で祖父母世代にとって、子育ては「一度経験したこと」であり、昔のやり方を過信しがちです。
自分の子育ての方法で、問題なく娘や息子が育ってきたという成功体験があるため、現代の最新の育児情報に戸惑い、そのギャップがトラブルのもとになることも少なくありません。

赤ちゃんの健やかな発達のために、あらゆる情報が急速に進化してきたことにより、そもそもの「育児の常識」にギャップが生まれているのです。

 

ーその世代間ギャップに、ママパパ世代はどう向き合えば良いのでしょうか。

まず大切なのは、ママパパは新しい情報をしっかりと伝えること。
そして、そのギャップへの向き合い方としては、世代間の違いを「面白がる気持ち」かなと、私は思っています。

ママやパパは、目の前の命を守るのに必死。

昔の育児の成功談をもとにした祖父母世代の意見や行動に「なんでそんなことするの?」と、どうしても批判してしまいがちです。
私はいつも、ママやパパにはもちろんですが、祖父母世代にも「海外留学生を受け入れるような気持ちで接してみて」と伝えています。

例えば、海外留学生が文化の違いで、何か失敗してしまったとき。
「なんでそんなことするの?」と怒るのではなく、「こんな言葉も文化もわからない土地で、そこまで考えられるなんてすごいよ!次は頑張ろうね!」と、応援したくなりますよね。

それくらい、祖父母世代とパパママ世代とは、バックグラウンドが違うと思います。
子育ての方法や考え方にちょっとした違いがあった時も、「今はそうなんだね!」「なるほど昔はそうだったのか!知らなかった」と、まるで異文化交流を楽しむように受け入れる姿勢を持ち、そしてそれを互いに面白がること。これは「どちらかが我慢をする」という意味ではなく、それぞれに異なる文化があることを受け入れ、面白がる方が関係性がうまくいく、という話です。

そのためには、お互いに思っていることをはっきり伝えることが大切。
こうした考え方が、いい関係を築くポイントだと思っています。

子育ての最新情報をフラットに伝える「祖父母手帳」

ー心持ちについて、とてもよく理解できました。では具体的に、その世代間ギャップを埋めるための情報の伝え方や、具体的な方法、ツールはありますか?

はい、あります。
最近は、行政や産院が祖父母世代に向けて開講する「孫育て講座」も増えてきました。
特にはじめての孫を迎える方には、こうした機会に積極的に参加し、まずは情報をアップデートすることで、良い「孫育て」のスタートが切れると思います。

また、私たちが発行や監修をお手伝いしている「祖父母手帳」というツールもあります。
これは現代の子育て事情を知らない祖父母世代に、最新の情報を分かりやすく伝えるためのガイドブックで、自治体や病院が配布していることも多いので、手にしたことがある人もいるかもしれません。
「NPO法人孫育て・ニッポン」の公式サイトを通じて、無料でダウンロードできるものもあるので、孫が生まれることを心待ちにしている祖父母世代に、パパやママからお勧めしてあげるといいと思います。

この祖父母手帳には、「今と昔の子育ての違い」や「パパママが大切にしていること」などが書かれています。
これを祖父母世代が読むことで、常識だと思っていた育児が今は違うということ、最新の子育て情報について触れることができます。

世代間ギャップによるぶつかり合いの、一番の原因は「情報や認識の違い」です。
祖父母世代には、孫を迎えるにあたって今一度現代の子育てについて理解を深めていただくことで、パパママ世代との無駄なトラブルを避けることができると思いますよ。

 

***

 

子育てに関する情報は日々変化し、世代間のギャップは避けられません。しかし、違いを否定するのではなく、「面白がる姿勢」で向き合うことで、互いに楽しく子育て・孫育てができるのかもしれませんね。
孫育ては、親子三世代が協力し合う貴重な機会です。新しい情報を取り入れながら、お互いに尊重し合うことで、楽しい孫育てが実現できるはずです。

次回は、世代間の「距離感」の取り方などについて、さらに詳しくお聞きしていきます。お楽しみに!

 

ライター 後藤麻衣子

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Profile

NPO法人 孫育て・ニッポン 代表理事

ぼうだあきこ

「NPO法人孫育て・ニッポン」理事長のほか、「NPO法人ファザーリング・ジャパン」理事、「一般社団法人産前産後ケア推進協会」監事、「3・3産後サポートプロジェクト」リーダーなど。産前・産後アドバイザー、防災士。 編集者としてのキャリアを持ち、育児雑誌や医療系の編集、育児サイトの立ち上げ・運営など、多岐にわたる分野で活躍。2011年に「NPO法人 孫育て・ニッポン」を設立し、子育てや孫育てに関する講座やプロジェクトを全国で展開し、家族間や地域社会での子育て支援の輪を広げるための啓発活動を行う。各自治体で配布されている「祖父母手帳」の制作も担う。著書に『祖父母に孫をあずける賢い100の方法』(岩崎書店)、2024年4月に発行したばかりの『娘が妊娠したら知りたい50のこと』(イースト・プレス)監修。 NPO法人 孫育て・ニッポン https://www.magosodate-nippon.org/

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わたしたちは、子ども家具メーカー「yamatoya」です。

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子ども家具をつくってきた歴史は、
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